今月中旬に高知県から北上を始めた桜前線は、北陸地方の一部地域まで到達。日本列島各地で季節の移ろいを感じる頃となりました。
そんな春の陽気に誘われ、新型コロナウイルス感染症を巡る状況が依然落ち着かないことから、マスクなどの感染症対策をしっかりとしたうえで、屋外での作業に精を出したり、野山に出掛け自然を楽しんだりする人も少なくないでしょう。そうした時に注意してほしいものの一つが「ダニ媒介感染症」です。
ダニ媒介感染症は、畑や野山に生息し、ウイルスや細菌などの病原体を持つダニに刺されることによって生じる感染症で、ダニの活動が活発となる春から秋にかけて患者さんが多くなる傾向にあります。代表的なものとして、発熱や嘔吐をはじめとする消化器症状が現れる「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」、高熱や赤い発疹(紅斑)等が生じる「日本紅斑熱」「ツツガムシ病」などが挙げられます(重症熱性血小板減少症候群と日本紅斑熱はマダニ、ツツガムシ病はダニ類の一種であるツツガムシがそれぞれ原因)。
感染から身を守るためには、以下のような対策を講じることが望まれます。
・ダニが生息している草むらや野山などに入る際は、肌の露出を少なくする(衣服の色はダニを確認しやすい明るい色がおすすめ)。
・ダニ忌避剤、虫よけスプレーを携行&使用(ダニの付着を完全に防ぐわけではないので、他の対策と併用)
・地面や草の上に直接座ったり、モノを置いたりせず、敷物等を使う。
・帰宅後、すぐにシャワーや入浴をして、ダニが付着していないか、ダニに刺されていなか確認する。
なお、ダニに刺されていると確認をしたときは無理に引き抜かずに、また感染症の症状が現れた時はためらうことなく、それぞれ医療機関を受診して下さい。
気温が上がると、つい半そでやサンダルで草むらに入ってしまうことがあるかもしませんが、ダニに刺され、感染症となってしまう恐れがあります。上記したものはじめ、しっかりと対策を講じ、感染予防に努めるようにしましょう。
堀 エリカ
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